2016/12/29
をわりのはぢまり~ある少年の日常~08
翌日、隣の教室は異様な騒がしさだった。「とうとうオナニーしてたべ?」
「必殺、光速オナニー!な。」
「女子にもまわってるらしいね。」
「1組は全員のグループにまわったらしいよ。」
「佐々木もエグいな。」
「今度やる時見に行こうぜ。」
「夏休み前にやるかな?」
部屋で一人、佇んでいた。このまま夏休みになってしまえばいい。この緩やかな強制から逃れられる。心からそう思わずにはいられなかった。
突然、部屋の片隅に置きっぱなしだったスマホが震えた。それは他のクラスの友人からのメッセージだった。
「おまえ、すごいな!メッチャ受けたぞ。」
「今度教室でオナニーするんだって?うちのクラスでもやってくれよ。」
「女子が見たがってるぞ。」
僕はスマホを片手に握りながら、立ち尽くした。僕の動画はどこまで広がってしまったのか。「教室でオナニー」という言葉が頭から離れない。僕の知らないところでどんな計画が持ち上がっているのか。
教室でオナニーするということ。それは男子はおろか女子生徒の前でもオナニーするということとイコールだ。佐々木達の前でやらせらるのはまだしも、まさか白昼の教室でやらされるのだろうか。
いつもこの部屋でこっそり行う秘密の儀式。家族が寝静まった頃、誰にも知られることのないはずの時間。頭の中に特定の女子を描いて、チンコを刺激するのだ。少しずつ膨張してきたそれは、やがて風船のように膨らんだ亀頭の先の割れ目から勢いよく白濁した汁を放出する。
誰にも見せるはずのないその行為が、佐々木の手によって白日のもとに曝け出されようとしている。明日は火曜日だ。思い切って佐々木に聞いてみるしかない。不安を噛み殺しながら眠りについた。