2016/12/26
をわりのはぢまり~ある少年の日常~06
翌日、隣の教室はいつもより騒がしく思えた。「昨日また動画来たねー。」
「ぞうさんな。」
「いじめくさくね?」
「佐々木はいじりだって。」
「今度教室でやらせるらしいよ。」
「見に行くか、はは。」
「ぞーーさん、ぞーーっさん、おーーはながながいのねーー・・・。」
僕は今、目の前にあるのが現実かどうかわからない。夢なのかもしれない。クラス全員の顔が目の前にある。殆どが大笑いしたり、手を叩いたりしていている。でも何故か、数人の女子は顔を伏せたり、手で顔を覆っている。僕は教壇の上で、下半身裸になって腰を上下左右に振りながら、ぞうさんの唄を歌っている。先生はいなくて、黒板には「自習」の文字があった。何故か時間がゆっくり流れているように感じる。スローモーションで、僕のチンコはブラブラ揺れている。太ももに「半ムケ星人」「デビュー!」と書いてあるのが見える。僕は羞恥を感じる人間の世界を突き抜けて、何か別な世界に迷い込んでしまったのかもしれない。何も感じることもなく、佐々木に言われたままに人形のように動いていた。
歌い終わった僕は、後ろを向き、肛門が見えるようにケツを左右の手で開き、
「ありがとうございましたーーー!」
と叫んだ。大人のいない教室で、残酷に男子の歓声と女子の悲鳴がこだました。
家に帰り、泣いた。恥ずかしさはなくなったはずなのに、涙が出るのは何故だろう。太ももにはまだ「半ムケ星人」「デビュー!」の刻印がある。僕はどこまで行ってしまうのだろうか。まさか教室でクラス全員の前でやらされるとは思っていなかった。タイミング悪く自習の時間がまわってきたのが、運の尽きだった。僕はクラスの女子全員にも見られてしまった。もう、今さら隠しても仕方がない。もう、壊れてしまえばいい。
佐々木はケツを広げながらの「ありがとうございましたーーー!」が気に入ったようで、時折、何の脈絡もなく振ってきた。体育の終わったあとの用具室で、廊下の片隅で、先生がふと印刷に出た隙をついた教室で、道端で、1年生のいる前で。その度に自分でも見たことのない肛門を外気に晒すのだった。
チンコを晒したのは半ムケ星人のデビュー以来、更衣室で一度だけ男子の前でやらされただけだったので、そこまで佐々木ははまらなかったのかもしれない。しかし、それは僕の間違いだった。
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