2021/11/16
闇夜の指令-エピソード02-
<この話しは小説「闇夜の指令」の中で、後輩に捕獲されてからハロウィンまでの間のエピソードです。>
下ネタカラオケが終わると再び「皮音頭」をさせられ、それはしばらく続けられた。これ以上続けたら皮も伸びきって元に戻らなくなってしまうのではないかという恐れが頭をよぎった頃、次は「チンポ踊り」の指令がくだされた。全裸の姿のまま両手を腰に当て、腰を前後左右に動かし続けるだけのものだ。大勢の着飾った人の前でただ一人全裸になり、無意味に性器を揺らし続け、惨めなオブジェと化すことの屈辱は、今までの人生でも味わったことのない類のものだった。
人々はグラスを片手に談笑していた。まるで全裸の男が存在しないかのように、その視界には何も映っていないかのように。続けていると腹筋や腰に疲労が蓄積してくる。しかし、やめるわけにはいかない。後輩からどんなひどい罰を受けるかわからない。精神と肉体の苦痛が重なり、ピークに達しようとした頃、惨めな時間は一人の男によって幕を閉じた。
「そうだ!あれ使って引っ張ればいいんじぇね?」
少し前に股間に膝蹴りをしてきた黒いタンクトップの男が何かに気づいたように、大きなカバンから奇妙な器具を取り出した。どこかで見たことのあるそれは、ペニスの吸引器だった。
「よし、今から無理やり勃起させるぞーーーー!」
「やれやれーーー!」
こんなことになるのであれば存在を消されたような、無意味な裸踊りが続けられていた方が幸せだったかもしれない。黒いタンクトップの男とその仲間に取り囲まれ、無理やり性器に吸引器を装着させられポンプのようなもので吸われるのだった。
「いたい!やめてーー!」
思わず大きな声が出てしまう。自分のペニスが真空の空間に引っ張り出され、内側から広げられるような痛みと気持ち悪さを感じる。やがてその苦痛から逃れるかのようにペニスに血液が流入してくる。勃起の始まりだ。
「よし、大きくなってきたぞ!」
「フル勃起しろよ!」
大勢の人の前で無理やり笑いものにされ、自分の大事な部分をおもちゃにされて、僕の心は崩壊寸前だった。しかし、勃起とともにペニスから快楽物質が脳に伝わり、屈辱的な状況にも関わらず、勃起は鋭さを増すのだった。
「勃った、勃った。じゃあ、チンポ踊り再開!」
ポンプでしばらく勃起を維持させられた後、チンポ踊りを再び命じられた。今回は腰を動かすたびに勃起した性器が前後左右に大きくグラインドする。大きく揺れるそれは規則的に動く奇妙なインテリアのようだった。そして揺れるたびに性器は刺激され、より一層快感が増すのだった。やがて性器の先にうっすらと液体が滲んできた。
「それでは、本日のメインイベントです!スクリーンをご覧ください!」
僕が勃起したままのチンポ踊りの快感から逃げられなくなり始めていた頃、後輩が突然大きな声をあげた。スクリーンには、今いる部屋と同じような雰囲気のパーティルームが写っている。ただ一つ違うのは部屋の中央に大きなベッドが置かれていることだ。
「今から、こちらの部屋に先輩を送ります!先輩、行ってからのお楽しみですよーー!」
チンポ踊りに興じていた僕の尻を後輩が蹴り上げる。そして耳元で囁くのだった。
「扉を出てまっすぐ行ったところの正面の部屋に行け。服着るのも面倒だから、その格好のままで行け。」
僕は全裸で勃起させたまま、この部屋を飛び出るのだ。他の部屋を使う一般の利用者に見られないだろうか。また、目的地の部屋には何が待っているのだろうか。不安感から勃起していた性器が急速に萎むのを感じた。
「ほら、行ってこい!」
扉を開けたまま躊躇している僕の背中を後輩が押した。
「楽しんでこいよ!」
そして悪魔のような笑みを見せるのだった。
「本日は実は隣の部屋も貸し切りにしてあります!そして、スペシャルゲストをお呼びしています。○○公園にお住まいの方々です!ゲストの方には数日お風呂を我慢していただき、今日に備えていだきました。そして男でもいいから好きにしていいという条件で、こちらに来ていただきました。さて、先輩の運命やいかに!」
半勃起の性器を揺らしながら廊下を走る。早くたどり着かなければ、誰かに見つかってしまうかもしれない。幸い誰にも見つからずに、正面の扉にたどり着いた。意を決して重い扉を開ける。少しずつ開けるのに従って感じたのはとんでもない悪臭だった。
部屋の中の奥の方に数人の男の姿が見える。お世辞にも清潔とは言えない風貌だった。
スピーカーから後輩の声が聞こえてくる。
「では、ゲストの皆さん、全裸で勃起したままの変態男がそちらに到着したと思います。今夜は朝までその男を好きにしてください。NGはありません。口でもアナルでも好きなところを使ってください。チンポをしゃぶるのも大好きです。ケツの穴も舐めたいと言っていました。もし嫌がった時はウンコにザーメンでもかけて食べさせてください。ではまた!」
カチャリ。扉の鍵が閉まる音が聞こえた。この先の運命に膝から崩れ落ちる。見上げると数人の男が近づいて来ていた。