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をわりのはぢまり~ある少年の日常~01

「なあ、おまえキャラ変えない?」僕にとっての地獄は突然に始まった。
特段僕はクラスで目立つタイプでもなく、いたって普通に中学校生活を送っていた。特段かっこよくもなく、かと言ってブサイクでもなく、どこにでもいる普通の中学生だった。女子にももてるわけではないが、嫌われているわけでもない。男子の誰かとケンカしているわけでもないし、クラスのみんなともそこそこ楽しくやっている。
そんな当たり前の日常が一変したのは、佐々木が発した「なあ、おまえキャラ変えない?」の一言だった。佐々木は小学校の時も同じ学校で、それほど親しいわけではなかったが、中学校ではやんちゃなキャラとして時折目立つことがあった。そんな佐々木がある日僕にキャラ変の提案をしてきたのだ。
「おまえさ、大人しそうだけど笑いの才能あると思うぜ、絶対。じゃあ今日からお笑いキャラな!!」周囲にいた佐々木グループのメンバーも「それな!いいね。」と同意している。あまりにも唐突なことに思えたが、佐々木がこような提案をしてきたのには思い当たるふしがある。もしかしたら先週のホームルームで何人かが今年の目標を言わされたのだが、たまたま当たってしまった僕は苦し紛れに「みんなの人気者になりたいです。」と言ってしまったのだ。何故そのようなことを言ったのかは自分でもわからないが、咄嗟に当てられて動揺していたのだと思う。佐々木はそれを逃さなかった。
「で、何するか?」
「いやぁ、突然言われても、そんな笑いなんかやったことないし…」
 畳み掛けるように佐々木グループが問い詰める。キャラ変に同意したつもりはないのだが、連中にとってはもう既定路線のようだ。
 「ケツだけ星人やってみ?」
 「ケツだけ星人…?」
 「そうだよ、しんちゃんがやってるやつだよ!多分メッチャ受けるよ。」
 「ははは、それいいな、見たい見たい!」
 佐々木グループは楽しそうに話しているが、あれは子どもがアニメの中でやってることで、実存する中学生があんなことができるわけがない。佐々木はそんな僕の気持ちを見越したように、
 「いや、おまえならできるよ。絶対。俺にはわかる。」
 と繰り返している。
そんなことできるわけないが、僕には佐々木には逆らえない理由があった。佐々木は圧倒的に僕に対して優位であり、僕は佐々木の前では強く出ることができない弱みを握られていた。
「楽しみに待ってるからな!」という佐々木グループの勢いもあり、僕は放課後使われていない教室に召集をかけられてしまった。

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天使マン【羞恥小説】

Author:天使マン【羞恥小説】
忘年会やパーティでの裸踊り・チンポ芸など大好きな「天使マン」です。いじめられる男、羞恥系M男小説をたまに書いてます。
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