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闇夜の指令-番外編06-

 車窓を流れる景色は早く、あらゆるものが一瞬に過ぎ去ってゆく。自分は今、新幹線で北に向かっている。楽しい旅行であればビールでも飲みながら、のんびりと景色を楽しむところだが、そうもいかなかった。今回の旅の目的はただ一つ、後輩の指令によりリフレッシュ休暇を利用して、全国で珍芸を披露してまわることだ。徐にスマホを取だし、ムービーに収めておいた自分の芸をチェックする。画面の中に全裸の男が現れ、極限までチンポの皮を伸ばしている。
  「チン皮ビローーン!チン皮ビローーン!」
 イヤホンから奇妙な声が漏れ聞こえた。何故、こんなことをしなければならないのか。うっすらと涙が溢れてくる。
 後輩は助言と称して、自分に極限までの羞恥芸を強要した。単に衆目にチンポを晒させるだけでは満足せず、皮を伸ばしたり勃起させたり、また肛門を使った芸なども提案してきた。昨日はレンタルスペースに後輩の仲間を集めて最終チェックとの名目で全裸芸を披露させられた。
 「先輩!ネットで面白いもの見つけたんですよ!」
 後輩が無邪気な笑顔を見せる。そして、金属製の変わった器具をちらつかせた。
 「つけてみましょうよ!」
 チンポの先につけられたそれは尿道を広げる器具だった。螺子を回すと左右の金属が開き、尿道がぱっくりと口を開けるのだった。
 「めちゃくちゃ笑えますね!それからこれも、あとこれも・・・」
 最終的には鼻フックで惨めに顔を変形させ、全裸の体に「本日の主役」という襷をかけ、器具で尿道を広げたまま、肛門からゴルフボールをひり出す「産卵」という芸で場を沸かせるのだった。
 「締めはオナニーがいいと思うけど、ただのオナニーじゃ面白くないしなあ・・・。」
 後輩が不敵に笑った。

 初日の場所は、駅前から程近いところにある小劇場だった。夜になると怪しげなネオンが輝く路地の一角にそれはあった。オーナーはアマチュア劇団を応援しているらしく舞台での全裸などは日常茶飯事といった様子だった。
 「まあ、好きにやんな。」
 オーナーが事務所の奥に消えた。試にリハーサルとしてパンツ一枚の姿でステージに立ってみた。ステージはやや高くなっており、もし観客がいれば、目線の位置に自分の股間が位置することになるだろう。こんな目立つところで全裸になり、芸を披露するなど正気の沙汰とは思えなかった。自分は何か夢でも見ているのではないだろうか。
刻々と開催予定時間が迫ってきた。ドリンクを一気に流し込む。しばらくすると胸が熱くなり、頭がぼぉーっとしてきた。舞台袖からステージを見ると暗闇の中数人の人影が見えた。もうあとには引けない・・・。
 「イイェーイ!みんなオナニーしてるかーーーい?チン皮ビローーン!!」
 狂乱の宴が幕を開けた。

 「ホウケイ!ムケチン!ホウケイ!ムケチン!・・・」
 何一つ身につけていない真っ裸の男がステージに登場した。チンポの皮を被せたり剥いたりしながら、大声で叫ぶ。暗くてよく見えないが、数人は人がいるようだ。男だけだろうか、女もいるのだろうか。
 「今日はさとっしーの珍芸ライブに来てくれてありがとう!今からいっぱい珍芸披露するから、いっぱい撮影してどんどんネットで拡散してね!!」
 後輩によって決められた台詞を叫ぶ。
 「はーい!みなさん注目!アナルでーーす!トイレットペーパーついてたらゴメンね!」
 両手で尻たぶを思いきり広げる。
 「さとっしーは変態だからチンポが勃ってきたよ!」
 半勃ちになったチンポを左右に振り乱す。
 「乳首も感じるんで、今から気持ちよくなる装置をつけまーーす!」
 小さなドーム型の装置を取り出し、乳首に装着する。
 「スイッチ、オーーーン!」
 ぶぃーーんと鈍いバイブ音が響き、乳首に取り付けた装置が作動する。羽状のものが回転を始め、乳首が舐め続けなれるような快感に襲われる。さらにチンポは固さを増し、頭は完全にを上を向いた。
 「乳首で感じる変態でーーーす!みんな拡散してーーー!」
 両手でピースサインを作りながらスポットライトを浴びるのだった。

闇夜の指令-番外編05-

 誰もいなくなったパーティー会場のステージで、一人ひざまずく全裸の男がいた。人生を玩具にされた余興からどのくらいの時間が経過したのだろう。腹に飛翔した精液も、頬に流した大粒の涙もすでにすっかり乾き、茫然と虚空を見つめていた。
 「先輩、よく頑張りましたね。楽しかったですよ。」
 ふと、暗闇から後輩が現れた。
 「いろいろ暴露されてがっかりしちゃいました?でもそんなに悲しまないでくださいよ。先輩の人生は終わったわけじゃないんですよ。始まったんです。」
 後輩の右手には鍵が握られていた。自分の部屋のアパートの鍵だ。
 「今日はこの格好のまま家まで帰ってください。ルートはお任せします。おまわりさんに見つからないように気をつけてくださいね。」
 目の前に鍵が放り投げられた。
 「では、また会社で会いましょう!捕まらなけばね。」
 後輩の姿が消え、永遠の闇が再び戻った。


 「先輩のリフレッシュ休暇、僕がプランを考えておきましたよ。」
 あの悪夢の余興からしばらく経ったある日の午後、後輩の悪魔の囁きが聞こえた。自分を貶めることを喜びにしている奴のことだ、ろくな提案ではないだろう。得も言われぬ不安感がこみ上げてくる。
 「メールチェックしておいてくださいね。」
 すぐにパソコンのメールを立ち上げる。多くの仕事関連のメールの上位に異質なタイトルが目に入った。

 「チンポ芸人さっとしーの珍芸全国ツアー開催!」

 慌ててメールを開く。PDFファイルが添付されており、それはイベントのチラシだった。
 「チンポ芸人として売り出し中のさとっしーが全国ツアーを開催!今回はチケット代は無料!全額さっとしーが自腹で負担します!ネットで有名な数々の珍芸・チンポ芸を生でお楽しみください!」
 そのようなコピーと共に全国の7つの都市の名称と開催時間、また小劇場であったりライブハウスであったりの会場名が記載されていた。また全裸でがに股になり、両手でピースサインを作っている自分の写真がでかでかと使われていた。目は傍線で、陰部はハートのスタンプで隠されてはいたが。

 ハンマーで頭を殴られたような気がした。何が起こっているのかわからない。
 メールの本文を見ると、後輩からの「指令」が下っていた。
 「先輩はこれからチンポ芸人として有名人になってもらいます!そのために全国ツアーを企画しました。もう会場は押さえておきました。仕事が早いでしょ?先輩がリフレッシュ休暇のために積み立てておいた貯金を全額使って会場費を支払ってください。移動ももちろん自腹です。芸人なんだから下積みも必要ですよね。
 今から毎日いろんなチンポ芸を考えて、もちねたを増やしておいてくださいね。海外のサイトのリンクを貼っておくのでじっくり研究しておくこと。「・・・Puppetry of the penis .com」
 もちろん、ツアー中の射精は禁止です。ステージ上でのみ許可しますので、お客さんの前で派手にぶっ放してください。またいつものドリンクもちゃんと服用するように。
 先輩のツアーが成功するようにネットを使ってチラシを拡散しまくります。たくさんの人が来てくれるといいですね!」

 頭の整理がつかない。茫然とパソコンの画面を見つめた。リフレッシュ休暇は南国でバカンスしようか、または世界遺産の遺跡などを見て回ろうかとずっと思いを巡らせてきたのだ。それを日本全国でチンポを使った芸を披露して回ることになるだろうとは夢にも想像できなかった。しかもこつこつ貯めた旅行資金も全て費やさなければならない。
 目を閉じると地方都市の小さなライブハウスで全裸になってチンポをいじる自分の姿とそれを嘲笑う観客の姿が見えた。そのあまりにも悲惨な未来に身震いすると同時に、何か熱いものが胸にこみ上げてくるのを感じた。

プロフィール

天使マン【羞恥小説】

Author:天使マン【羞恥小説】
忘年会やパーティでの裸踊り・チンポ芸など大好きな「天使マン」です。いじめられる男、羞恥系M男小説をたまに書いてます。
mail:tensiman19@gmail.com
X:@tensiman1919 

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