2017/10/27
闇夜の指令02
こちらの思いを見透かしたかのようにメールが届いた。---------------------------------------------------------------------------------------
画像楽しんでもらえましたか?ケツ穴までおっぴろげちゃってすごいね。
もちろん、オナニー動画も持ってるよ。職場の人が見たらビックリしちゃうよね。
多分人生終わるよ。
取引しますか?
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完全に失敗した。僕が若い女の子だと思っていた相手は誰なのか、全くわからない。男かもしれないし、やはり女なのかもしれない。自分は取引したい旨、メールした。画像データを完全に破棄すること。それにはいくらかかるのか。そしてしっかりと約束を守ること。
やがて返事は来た。
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お金はいらないよ。
そのかわり罰ゲームにチャレンジして欲しいな。チミのがんばる姿が見たいの。
やりますか?
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罰ゲーム・・・。一体何をさせるつもりなのだろうか。不安に怯えながら返信を待つ。やがて「全裸マラソン」というタイトルのメールが届いた。野外を全裸で走ることから始まる罰ゲームだ。そして決行の時間や走行ルートなどの詳細も送られてきた。マウスを持つ手が震える。こんなことが僕にできるのだろうか。
カップルの横を通り過ぎた。全裸でいることがばれただろうか。心臓が早鐘を打つ。もう消えてしまいたいと思った。この公園は外灯は少ないのだが、一つ一つが明るい。先程のカップルがいたような暗闇を走るだけならまだしも、外灯の下はきつい。それでも僕は決められたルートを走らなければならない。外灯が近づいてきた。今までは特段何の意識もせずにそばを歩き去るだけの外灯だが、今は太陽のような明るさを感じる。明るいことに恐怖を感じるのは初めてだ。暗闇から真昼の明るさの中に全裸の男が飛び出していく。恐らく遠くからも見えてしまうことだろう。
僕はどこまで行くのだろう。再び舞い戻った暗闇で、立て続けに仕事帰りのサラリーマンや数人の学生集団とすれ違った。
「あれ裸じゃね?」
「変態か?」
遠くに声が聞こえた気がした。確かに変態にしか思われないだろう。いい年の男が全裸で性器を上下に激しく揺らしながら走っているのだ。
やがて、公園の出口が見えてきた。再び外灯に裸体を照らされ、僕は弾かれるように道路に飛び出した。この人通りの少ない通りを抜け、駅前通りに出て僕はある課題をやらなければならないのだ。