2016/12/26
をわりのはぢまり~ある少年の日常~04
家で風呂に入る時、鏡に映った自分の姿に愕然となった。右の太ももに「半ムケ星人」、左に「参上!」と書かれている。その真ん中には半ムケ星人の名前の由来になった自分のチンコが写っている。遂にクラス中の男子にこれを見られてしまうのか。昼間の信じられない光景がよみがえってくる。あれは本当に自分の身に起こったことなのだろうか。洗っても洗ってもなかなか消えない落書きは僕の心に少しずつ染み込んだどす黒い何かのようだった。翌日、体育の時間の前、男子更衣室は色めき立つ佐々木達の歓声が支配していた。
「今日はケツだけ星人の友達、半ムケ星人の登場です!」
「ミュージックスタート!」
僕は思い切って、体操服のズボンとパンツを膝までおろした。
「ぞーーさん、ぞーーっさん、おーーはながながいのねーー・・・。」
男子全員に恥ずかし過ぎる芸を披露し、僕はチンコを左右に揺らしながら、大声で歌った。
「半ムケ星人いいぞ!」
「全部むいてみろー!」
全身の血が頭に登り、頭だけが重たい別の物体になったような感じで、僕は何も考えられなくなった。ズボンとパンツを引きずり上げながら、始業のチャイムが頭の中で鳴り響いた。
長い一日が終わった気がした。ベッドに横たわると、頭の中で昼間の歓声が聞こえてきた。クラスの男子はみな喜んで、おまえ最高だよ!と手を叩いて喜んでいた。僕は確かに人気者になれた気がした。何かと引き換えに。
ふと、スマホのバイブ音に気付いた。佐々木だった。
「今日のステージは最高だったよ!また来週もよろしく!」
ついで佐々木のスマホらしきスクリーンショットが送られてきた。僕は目を疑った。それは、放課後撮られた「半ムケ星人参上!」の写真を佐々木に親しい女子に送った痕跡であった。
「やばい(笑)」
「これ誰よ?」
そのような文字も読み取ることができた。「これ誰よ?」とあるので、恐らく顔は隠してあるのだろう。しかし僕は自分の大事な部分をついに女子にまで見られてしまった。
「大丈夫、顔は見せてないから。チンコは写ってるけどw」
「明日も企画会議やろーぜ!」
僕はその場に倒れこんだ。そして、しばらく起き上がることができなかった。
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