2023/09/26
サークル勧誘(短編)~後日談~
(後日談)
「かんぱーーーーーーーい!」
その夜の飲み会はいつになく先輩方が上機嫌だった。
「いやいや、まさかオナニーし始めるとは思わなかった。」
「追い詰められると本領を発揮するタイプだな。」
「一度、勃起を振り回した時あんじゃん?あの時の悲鳴はエグかったな。」
「ウンコしてでも笑いを取れ」との先輩からの非情な指令に追い詰めらた俺は、意を決してオナニーを始めたのだった。真昼間のキャンパスで全裸になってオナニーをするという非日常に頭の中がクラクラした。多くの新入生が足を止め、遠巻きにスマホで撮影する中、俺の身体は少しずつ変化し始めた。完全に勃起したところで勃起を振り回して見せた。
「フル勃起しましたーーーー!もうちょっとでいきそうです!!!」
自分で言うのも何だが俺のアレは勃起すると相当大きくなり、ある意味グロテスクにさえ映る。勃起をゆさゆさと振り回すと女子学生の「いやーーー!」という悲鳴がキャンパスに響いた。
その直後、スマホに「撤収」の文字が入り、俺は慌てて服をかき集め建物の中に消えた。服を着てしばらくすると学生指導の職員が時折行ったり来たりしている。全裸の男を探しているのだ。オナニーは勃起こそしたものの、未遂に終わった。
飲み会の席でも俺は全裸だった。
「しかしオマエ、平常時は普通だけど、勃起するとメチャでかいな。」
「大きすぎてキモすぎじゃね?」
「ほら、早速バズってるぞ!」
先輩が見せてくれたスマホの画面で自分が勃起を振り回している動画が再生されていた。動画の下に「10万回」の文字が見えた。俺は自分の痴態が物凄い勢いで拡散されていることに肌がヒリヒリするような焦燥感を覚えた。
「今後はデカチンキャラとして売ってくか?」
先輩方の意見が一致した。
通常、1年生が入れば1年生が汚れ役を買い、2,3年生は漫才やらコントやら知性で笑わせるようになるのが普通だった。しかし今年は1年生がトリオ漫才をやり、自分は裸芸人枠で過ごすことになった。着衣の後輩の前で一人だけ全裸で過ごすのは、本当に惨めだった。
せっかくのデカチンなのだから使わないのはもったいない、という理由で俺はいたるところで勃起を披露することになった。夜の居酒屋などは序の口で、駅のホーム、牛丼屋、交番の前、交差点、橋の上、パチンコ屋、人が行き交う商店街、昼夜問わず先輩の気が向けばどこでもズボンを脱ぎ、勃起を披露した。コンビニのトイレで全裸になり、勃起させたまま会計したこともあった。警察に通報され、こっぴどく叱られたこともあった。
そんなことがあっても、俺が裸芸人枠から昇格することもなく、1年後も俺は裸芸人として新入生の勧誘担当になった。
「みーーなさーーーーん、お笑いサークルOPPぜひ入ってくださーーーーい!」
3年になった俺はいきなり勃起した状態で登場した。もちろん一糸まとわぬ全裸である。
この1年で俺もだいぶ変わったと思う。去年のこの場所では恥ずかしくてどうしようもなかった。しかし、いろんな場所で俺の勃起を見て先輩達が笑い、女子達が悲鳴を上げ、男子学生が盛り上がっているのを見ると段々と勃起を見せることに喜びを感じるようになってきていた。最近では脱ぐとすでに半分以上勃起しており、それも一つの笑いのネタとなっていた。
俺は去年以上に勃起を揺らし、腰をグラインドさせた。過去最大の悲鳴が響く。今年は後輩の撮影部隊も各所でスマホ片手ににやにやしながら俺を撮影している。機は熟している。
「それでは、今からオナニーしまーーーーーーーーーす!!」
登場の前にトイレで何度も寸止めをして仕込んでおいた。よく見るとチンポの先はもうぬるぬるしている。ふと、目が潤んでくるのを感じた。視界が歪む。多くの新入生の男女の視線の先、スマホのカメラのレンズに全裸の男が反射する。
膝ががくがくして立っているのが精一杯だ。
「もういきます、いくっいくーーーーーーーーーーーーー!!!」
腰をグラインドさせながら、白濁液を何度も噴射する。やがてキャンパスに大きな歓声が轟き、股間から汁を垂らした男が恍惚の表情で天を見上げていた。
たくさんのスマホレンズがこの模様を克明に刻み、やがてこの醜態も永久にデジタル空間を漂流するだろう。