2020/10/06
特別役務従事者の憂鬱2
毛告が特別役務従事者に選抜されてから1年が近づいていた。その間、彼は国民のおもちゃとして人権を剥奪され、目に見えて崩壊していった。ある日のこと、車や歩行者の行き交う大通りの交差点に、全裸で立つ毛告の姿があった。
かつては交差点の脇に銅像が建っていたのだが、しばらく前から毛告が恥を晒すためのステージとして銅像のみ撤去され、1平方メートルほどの台座だけが残されていた。台座に登り毛告が叫ぶ。
「みなさーーーん、みんなのアイドル毛告ちゃんでーーーす!今日は今まで練習してきたアナルオナニーを披露しまーーーす!」
大声で叫んだかと思うと、ビニール袋から子どもの腕はあろうかと思われる極太のディルドを取り出した。不気味な程黒いディルドにローションを垂らす。怪しく黒光りしたディルドを台座の中央に置き、そのまま腰をうずめていく。
「にょーーーんん!ふぉにょにょーーーーんんんん!!」
日常的に媚薬を摂取することを強要され、快楽の虜になった毛告が奇声を発し、喘ぐ。その姿はライブ配信されるばかりでなく、事前にSNSで告知されていたため、多くの人が交差点に集まり、スマホ片手に撮影していた。
#毛告 #キモ杉 #変態 #人間のゴミ #特役従事者こわ #キモ射精
SNSは毛告のハッシュタグで溢れ、極太ディルドに跨りながら腰を上下に揺らし、乳首をいじりながら射精する毛告の動画がトレンド上位に名を連ねた。
もちろん、本来の仕事である中高生に生きたモデルとして行う性教育も引き続き行われていた。むしろ、その内容はより強度を増したと言ってもよい。中高一貫の女子学校に全裸で潜入し、丸々2日を使い、全クラスで勃起から射精に至るまでを披露するのだ。通常の男性であれば1日に数十回もの射精をすることは肉体的に難しいだろうが、毛告は睾丸に特殊な注射を打ち、1日に何十回も射精ができるよう肉体改造されていた。
「聖〇〇女子のみなさーーーん!まずは毛告ちゃんが興奮するようにお尻の穴をチェックしてよーーー!」
教壇に立つと毛告はおもむろに背中を向け、腰を曲げると、両手でぐっと尻たぶを開き、花も恥じらう女子校生の前に毛むくじゃらのアナルを見せつけるのだった。
「きゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
聞いたことのない悲鳴が校内に響き渡り、快楽に抗えない身体となった毛告の勃起中枢を刺激した。
「ほら、こんなにちんちんが大きくなったよ。誰か触って固さをチェックしてよーー!」
女子生徒がわれ先にと逃げ惑う教室の中、全裸の毛告が勃起させた性器を揺らしながら追いかけまわす光景はまさに地獄絵図であった。中には勃起した大人の男の性器に気持ち悪さを覚え、卒倒する生徒もいた。
「みんな見てーーーー!男の人も乳首が感じるんだよーーーーー!!」
教卓に登った毛告は勃起した性器をそのままに、両手で乳首をいじるのだった。鈴口の先からドロドロと精液が流れ落ちる。媚薬の影響か、乳首を少しいじっただけですぐにエクスタシーに到達していまい、射精の快感が常時続いているような状態であった。
「あおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!」
発情期の野生動物のような雄叫びが女子高の校舎にこだました。
数週間後、○○大学卒業証書授与式。かつては毛告自らが大学生活を送っていた大学の卒業式である。都内の武道館に晴れ着の女子大生やスーツ姿の男子学生が集う。皆晴れやかな表情で卒業を祝っていた。ただひとつ違うのは、式の最後に「後輩からのエール」という項目が新設されていることだった。
感動的な式の最後、「後輩からのエール」に登場したのは毛告であった。しかしその姿はもはやかつての爽やかな好青年とは似ても似つかぬものであった。一糸纏わぬ姿で着飾った数千人の前に登場した毛告。髪は切ることを禁じられていたため、無造作に長く伸ばしているが、頭頂部分だけ丸刈りにされ、落ち武者のような髪型となっていた。顔も身体も「毛告ブタ化計画」により醜く太り、額には「毛告」の名前が刻印されていた。鼻には牛のような大きな輪の形のピアスが括り付けられて、紐で結ばれていた。
「はーーーーい!みんな――――!卒業おめでとーーーーーう!」
虚ろな目で叫ぶ毛告が両手を上げ会場に向かって手を振る。脇の下からピンク色に染めた腋毛がのぞき、会場はどよめきに包まれた。
「ねえ!みんな、毛告ちゃんのちんちんチェックしてーーーーーーーー!」
毛告の股間にカメラが寄り、会場のスクリーンに投影される。強制的な永久脱毛で一切なくなったパイパンの陰毛部分にはわざわざ「ちん毛」の文字がタトゥーで刻まれていた。驚くべきはそのペニスであった。尿道が陰茎の根本まで真っ二つに切れ目が入れられているのだ。
「毛告は尿道割礼の手術を受けたんだよーー!おしゃれでしょーーーーー!」
勃起させながらペニスの切れ目を見せつける姿に悲鳴が沸き起こる。乳首をこすりながら快感を求める毛告が振り返ると、尻の分け目にびっしりとした黒い毛が覗く。彼の名前の由来になった濃い目のケツ毛はパイパンの陰毛とは対照的に養毛剤などを塗ることを強制され、より濃く、太く長いケツ毛となっていた。
もはやその姿は人間というより、何か得たいの知れない生き物のようであった。人間としての尊厳を全て破壊され、ただ快楽を求め続けるだけのモンスターとなっていた。これが国民のおもちゃの末路であった。
「だめーーー!いくーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
真っ二つに裂けたペニスの根本からぼとぼとと精液が滴り落ちた。
6畳一間のアパートの一室。全裸の男が横たわっていた。時折ビクッと大きく身体を震わせてながら小さく痙攣していた。脳内の快楽が絶頂に達し、もはや動くこともできず、痙攣しているだけの男。つけっぱなしのTVから女性の奇声が響き渡っている。
「いえーーーい!毛告の後任を務めます、万華狂子でーーーーす!これからいっぱいいろんなことに挑戦するんでよろしくね!では、今からマン毛をむしりまーーーーす!!!」