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をわりのはぢまり~ある少年の日常~04

 家で風呂に入る時、鏡に映った自分の姿に愕然となった。右の太ももに「半ムケ星人」、左に「参上!」と書かれている。その真ん中には半ムケ星人の名前の由来になった自分のチンコが写っている。遂にクラス中の男子にこれを見られてしまうのか。昼間の信じられない光景がよみがえってくる。あれは本当に自分の身に起こったことなのだろうか。洗っても洗ってもなかなか消えない落書きは僕の心に少しずつ染み込んだどす黒い何かのようだった。

 翌日、体育の時間の前、男子更衣室は色めき立つ佐々木達の歓声が支配していた。
 「今日はケツだけ星人の友達、半ムケ星人の登場です!」
 「ミュージックスタート!」
 僕は思い切って、体操服のズボンとパンツを膝までおろした。
 「ぞーーさん、ぞーーっさん、おーーはながながいのねーー・・・。」
 男子全員に恥ずかし過ぎる芸を披露し、僕はチンコを左右に揺らしながら、大声で歌った。
 「半ムケ星人いいぞ!」
 「全部むいてみろー!」

 全身の血が頭に登り、頭だけが重たい別の物体になったような感じで、僕は何も考えられなくなった。ズボンとパンツを引きずり上げながら、始業のチャイムが頭の中で鳴り響いた。

 長い一日が終わった気がした。ベッドに横たわると、頭の中で昼間の歓声が聞こえてきた。クラスの男子はみな喜んで、おまえ最高だよ!と手を叩いて喜んでいた。僕は確かに人気者になれた気がした。何かと引き換えに。
 ふと、スマホのバイブ音に気付いた。佐々木だった。
 「今日のステージは最高だったよ!また来週もよろしく!」
 ついで佐々木のスマホらしきスクリーンショットが送られてきた。僕は目を疑った。それは、放課後撮られた「半ムケ星人参上!」の写真を佐々木に親しい女子に送った痕跡であった。
 「やばい(笑)」
 「これ誰よ?」

 そのような文字も読み取ることができた。「これ誰よ?」とあるので、恐らく顔は隠してあるのだろう。しかし僕は自分の大事な部分をついに女子にまで見られてしまった。
 「大丈夫、顔は見せてないから。チンコは写ってるけどw」
 「明日も企画会議やろーぜ!」

 僕はその場に倒れこんだ。そして、しばらく起き上がることができなかった。

をわりのはぢまり~ある少年の日常~03

翌日隣のクラスでは男子が楽しそうに話していた。
「昨日、回ってきた動画見た?」
「メッチャ受けたけど、あいつあんなキャラだったっけ?」
「よく知らないけど芸人目指してるらしいよ。」
「ケツの穴まで映ってたよね?」
「いじめられてんの??」
「違うらしいよ、自分から佐々木達に頼んでいじってもらってるらしい。」

僕の知らないところで、少しずつ僕は変性しているようだった。火曜日のケツだけ星人は体育の時間前の定番となり、徐々に恥ずかしさも失せていった。同時に笑いも少なくなっていった。これで終わるのだと僕は思っていた。しかし佐々木は違った。
僕は再び放課後の教室に召集された。
「さて、第一関門突破だな。明日教室でもやってみるか?」
 教室でケツだけ星人をやるということは、自動的に女子全員の前でケツを出すということになってしまう。それだけは何とか避けたかった。
 「それだけは勘弁してください!」
 僕は泣きそうな顔で佐々木に懇願した。
 「そうか…じゃあ、男の前だけでいいから来週からチンコ出そうぜ。」
 「いいねいいね!」
相変わらず佐々木グループが悪乗りする。
 「ところでおまえチンコどうなん?むけてるん?」
 「い、いや、その…」
 「ちょっと見せてみ!」
 「いいだろ、男同志。この中にはホモはいねえよ!」
 僕はしぶしぶベルトをゆるめた。誰もいない教室とはいえ、チンコを出すのは勇気がいる。目の前は佐々木達5人だけだ…僕は思い切ってパンツを降ろした。
 「あははは!まじで出した!」
 「チンポ登場です!」
 「毛はちゃんと生えてるんな!皮は半ムケくらいか?」
 さすがに僕は恥ずかしくなって、
 「もうしまわせて!お願い!」
 と頼んだが、佐々木に一蹴された。
 「これからが本番だろーがよ。チンコ振り振りしてぞうさん歌おうぜ」
 「リアルしんのすけだな」
 「半ムケ星人ってのもいいんじゃね?」
 「いいね、それ。半ムケ星人」
 どこから持ち出してきたのか、誰かがマジックでチンコの横に「半ムケ星人」「参上!」と落書きし、僕は真っ赤な顔でぞうさんの童謡を歌いながら腰を揺らし、成長過程にあるチンコをおもちゃにして笑いを取った。頭の中が混乱して何も考えられなくなった頃、
 「じゃ、記念撮影な!」
という佐々木の声だけが遠くから聞こえた気がした。

をわりのはぢまり~ある少年の日常~02

放課後、夕焼けが赤く染める教室で僕は佐々木グループの前にいた。
「よし!まずはケツを出そう。」
佐々木が口火を切った。
「いや、でも…」
「大丈夫だよ、男しかいないだろ!おまえならできるよ。」
カチャカチャ…、僕は仕方なくベルトを外し、少しだけズボンとパンツをずらした。
「ダメだよ、それじゃ半ケツにもなってねえだろ!」
佐々木は強引に僕の下着をずり下げた。
「あはは!ケツだ。ケツ!」
「きたねー!」
佐々木グループから歓声が上がった。男だけとは言え、普段見せないケツを出すなんてとても恥ずかしかった。
「それでケツを持ち上げて、ぶりぶりぶりー!ってケツ振るんだよ。」
「でも、でも…」
「人気者になりたいんだろぉ?気合みせろや。」
「…」
僕は意を決して声を張り上げた。
「ぶりぶりー、ぶりぶりー!」
「ははは、ははは!」
僕の声をかき消すように佐々木達の笑い声がこだました。僕はアンコールに応えて、何度かぶりぶり叫びながらケツを振り乱した。頭の中が真っ白になり、何かが崩れたような気がした。
「いいじゃん!いいじゃん!おまえやっぱりいいよ。そのキャラでいけるよ。」
頭を床に近づけていたため、上から佐々木の声が降りてくるように聞こえた。
「じゃあ、明日体育の時間の前、更衣室でお披露目だな。」

翌日、僕は佐々木グループも含めてクラスの男子全員の前で、ケツだけ星人を披露した。死ぬほど恥ずかしかったが、更衣室という場所で男子だけの閉鎖空間だったので、何とか耐えることができた。
しかし、僕は気付かなかった。こっそり動画を撮られていたことを。そして、それが少しずつ、確実に拡散していくことを。

をわりのはぢまり~ある少年の日常~01

「なあ、おまえキャラ変えない?」僕にとっての地獄は突然に始まった。
特段僕はクラスで目立つタイプでもなく、いたって普通に中学校生活を送っていた。特段かっこよくもなく、かと言ってブサイクでもなく、どこにでもいる普通の中学生だった。女子にももてるわけではないが、嫌われているわけでもない。男子の誰かとケンカしているわけでもないし、クラスのみんなともそこそこ楽しくやっている。
そんな当たり前の日常が一変したのは、佐々木が発した「なあ、おまえキャラ変えない?」の一言だった。佐々木は小学校の時も同じ学校で、それほど親しいわけではなかったが、中学校ではやんちゃなキャラとして時折目立つことがあった。そんな佐々木がある日僕にキャラ変の提案をしてきたのだ。
「おまえさ、大人しそうだけど笑いの才能あると思うぜ、絶対。じゃあ今日からお笑いキャラな!!」周囲にいた佐々木グループのメンバーも「それな!いいね。」と同意している。あまりにも唐突なことに思えたが、佐々木がこような提案をしてきたのには思い当たるふしがある。もしかしたら先週のホームルームで何人かが今年の目標を言わされたのだが、たまたま当たってしまった僕は苦し紛れに「みんなの人気者になりたいです。」と言ってしまったのだ。何故そのようなことを言ったのかは自分でもわからないが、咄嗟に当てられて動揺していたのだと思う。佐々木はそれを逃さなかった。
「で、何するか?」
「いやぁ、突然言われても、そんな笑いなんかやったことないし…」
 畳み掛けるように佐々木グループが問い詰める。キャラ変に同意したつもりはないのだが、連中にとってはもう既定路線のようだ。
 「ケツだけ星人やってみ?」
 「ケツだけ星人…?」
 「そうだよ、しんちゃんがやってるやつだよ!多分メッチャ受けるよ。」
 「ははは、それいいな、見たい見たい!」
 佐々木グループは楽しそうに話しているが、あれは子どもがアニメの中でやってることで、実存する中学生があんなことができるわけがない。佐々木はそんな僕の気持ちを見越したように、
 「いや、おまえならできるよ。絶対。俺にはわかる。」
 と繰り返している。
そんなことできるわけないが、僕には佐々木には逆らえない理由があった。佐々木は圧倒的に僕に対して優位であり、僕は佐々木の前では強く出ることができない弱みを握られていた。
「楽しみに待ってるからな!」という佐々木グループの勢いもあり、僕は放課後使われていない教室に召集をかけられてしまった。

プロフィール

天使マン【羞恥小説】

Author:天使マン【羞恥小説】
忘年会やパーティでの裸踊り・チンポ芸など大好きな「天使マン」です。いじめられる男、羞恥系M男小説をたまに書いてます。
mail:tensiman19@gmail.com
X:@tensiman1919 

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