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をわりのはぢまり~ある少年の日常~12

 郊外の大きな川に自転車で向かった。周囲には、楽しそうにはしゃぐ少年の集団にしか見えないだろう。しかし僕の気持ちは暗澹たるものだった。佐々木だけが妙に高いテンションでまくし立てている。これから僕に何かをやらせたくて、相当興奮しているのだろう。

  「おまえ、マッパな!」
 佐々木の一言は衝撃的だった。遠くにはバーベキューをしている団体や、家族連れも見える。全裸でいればすぐにばれてしまう状態だ。
  「それはムリだよ・・・。」
僕は呟いたが、聞き入れられるはずもなく、
  「じゃあ、手伝ってやるよ。」
という佐々木の言葉で、後ろから羽交い絞めにされ、強引にズボンとパンツを引きずりおろされ、上半身も裸にされて、僕は全裸で放り出された。
 青い空が眩しい。佐々木達は皆水着を着ているのに、僕一人が全裸だった。遠くの人達にはただの悪ふざけとしか見えていないのだろう、笑ってスマホを向けているのが見える。
 「チンコを隠したら罰ゲーム」というルールが勝手に設けられ、僕は恐らく見知らぬ人に何枚も写真を撮られてしまっているのだろう。もちろん、佐々木達にも浴びせられる程に写真や動画を撮られまくった。
 遠くから女子の集団が近づいてくるのが見えた。やばいと感じて思わず右手を股間に持っていった時、佐々木の
  「ハイ、罰ゲーム決定ー!」
の声が聞こえた。その後、罰ゲームの内容が佐々木から発表されたのだが、僕にとっては悪夢でしかなかった。
 それは夏期講習の最終日に、好きだった女子に告白しろという命令だった。しかもただの告白ではない。全裸で勃起させた状態で告白しろという無茶な要求だった。佐々木は僕が送った塾のスケジュールで、僕の通っている塾を知り、そこにあの女子がいることを突き止めたのだった。今では違う学校だが、塾で顔を合わせるのに、そんな格好を見せられる訳がない。途方にくれる僕に、佐々木は淡々と計画を発表していた。

 僕は思い出していた。小学校の時、放課後の教室。誰もいない。目の前には彼女の机がある。机の横に彼女のリコーダーがかけてあるのが見えた。再度辺りを見回したが、誰もいない。人の来る気配もない。僕はすばやくケースからリコーダーを出し、自分の口に運んだ。これが、彼女がいつも口をつけているリコーダーで、僕も同じ部分に口をつけている、彼女の味や匂いが全部ここに凝縮されている。僕は彼女と一つになった、そう感じた瞬間、
  「おまえ、何やってんの?」
という佐々木の声で我に返り、ぎょっとしたのだ。佐々木は忘れ物を取りに教室に入ったところ、笛を咥えている僕の姿を目にした。
  「おねがい!誰にも言わないで!」
僕は土下座をして佐々木に頼み込んだ。そして、佐々木はそれに応じてくれた。しかしそれは時限爆弾のように爆発を未来へ先送りしただけで、むしろ加速度的に被害が増しているのではないか。そう思わざるを得なかった。

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天使マン【羞恥小説】

Author:天使マン【羞恥小説】
忘年会やパーティでの裸踊り・チンポ芸など大好きな「天使マン」です。いじめられる男、羞恥系M男小説をたまに書いてます。
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