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闇夜の指令04

 多くの人の叫び声をかわしながら、駅前ロータリーの西側、自転車置き場に辿り着いた。見上げると「南口駅前駐輪場」の看板が見える。その陰に隠れるように監視カメラらしき丸い物が見えた。あいつの言った通りだ。

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駅前ロータリーまで来たら、南口駅前駐輪場まで来て。
頭上の看板の横に監視カメラがあるから探してみ。
んでカメラに向かってアヘ顔、両手でダブルピースを作って最低10秒写ってね。
そうそう、せっかくだからチンコはフル勃起させてね!
10秒未満だったり、半だちだったりしたら即「鬼拡散」だから注意して欲しい。
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 性器はびっくりするくらい小さく縮んでしまっている。まずは勃起させなければならない。しかもできるだけ早く。長く留まれば留まる程、僕にとって生き地獄の強度が増すだけなのだ。

「おいおいオナニーしてるぞ!」
「兄ちゃん元気いいな!」
 肉体労働者と思しき2人組のおやじに冷やかされながら、性器を擦りあげる。なかなか大きくならない。自転車の向こうのオタクっぽい学生がスマホを向けているのがわかる。早くしなければこのような画像も拡散されてしまう。下手したらムービーも撮られているかもしれない。全裸画像を消すためのチャレンジが新たな全裸画像を生んでしまうのでは洒落にならない。

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ちゃんと勃起するように1週間オナ禁だからね。
あと、マラソン2時間前に「マムシ&マカドリンク アルギニンプラス」を
服用するように。
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 野外で全裸になってたくさんの人の前で自慰行為を見せつける。自分はそんなことに興奮する変態でない。しかし1週間の禁欲と強精剤の服用は自分の身体に意外な変化をもたらした。急激に勃起し始めたのだ。顔中がかーっと熱くなる。おやじ2名とオタク学生の他にも買い物帰りのおばちゃんや高校生カップルなども唖然として立ち止まっている。早くしなければギャラリーが増えてしまう。何より逮捕されるような事態だけは困る。
 さらに強く性器を擦りあげた。竿の部分にずしりと芯が入り、ついに隆々と完全に勃起した。そして、監視カメラに向かって両手でピースをつくり、口を開けて呆けたような表情を作った。これで10秒間だ。
「何だよ、あいつピースしてるぞ!」
「変態だよ、変態。」
「110した方がいいんじゃね?」
 さらに増えたギャラリーの囁きが胸に突き刺さる。日常では10秒などほんの一瞬なのだが、このシチュエーションでの10秒は永遠のような長さに感じられた。
「あっ!っくう・・」
 予想外の事態に思わず声が漏れる。強くしごき過ぎたのか、それとも禁欲と強精剤のせいかわからないが、性器の先からカウパー液がたらーっと滴ってきたのだ。しかも相当な量だ。尿道口から溢れ出たそれは怪しく滴る蜜のようだった。
「出てる!出てる!」
「おい、あいつ出すんじゃないか?」
 ギャラリーが再びどよめいた。

 それは異様な光景だった。日常の中の非日常。誰もが行きかう駅前の片隅の駐輪場で、何の前触れもなく全裸男のオナニーショーが開催されているのだ。男は呆けた表情で虚空に向けて両手でピースサインを作り、勃起した性器の先端から液体を滴らせている。優しい悪夢を見ているような、信じがたい光景だ。

 頭の中で10秒のカウントが過ぎた。もう大丈夫だろう。
「すいません!」
 すでにやや遠巻きにできた人だかりを抜けて、小道を目指す。再び暗闇に戻るのだ。来る時には縮んでいた性器も、今では完全に勃起している。走るたびに上下左右に揺れるそれは、設置型のサンドバックが叩いても蹴っても必ず垂直に戻ろうとする様を連想させた。また見方によっては何か棒状の生き物が股間に寄生しているようにも見えた。その生き物は先端を蜜で濡らして光らせており、蛍の発光のように求愛しているようにも見えた。

 帰り道は本当に人通りの少ない道でほっとした。徐々に勃起も治まってきた。遠くに公園の木々が見えてきた。ようやくこの地獄も終わるのだ。公園を指示されたルートで戻り、スタート地点の男子トイレに辿り着いた。幸い誰にも見られていない。一番奥の個室に飛び込む。そして急いで上の棚に手を伸ばし、紙袋を開けた。

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おつかれちゃん。
衣装チェンジしといた。がんばっておうちに帰ってね。
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 そこには競泳パンツが一枚入っていた。これで帰れというのか・・・。再び絶望の淵に突き落とされた。暗闇に季節外れの海水パンツ一枚を身にまとった男が駆け出して行った。

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天使マン【羞恥小説】

Author:天使マン【羞恥小説】
忘年会やパーティでの裸踊り・チンポ芸など大好きな「天使マン」です。いじめられる男、羞恥系M男小説をたまに書いてます。
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X:@tensiman1919 

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